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コラムいろいろ

  • 2010.08.04
  • がん治療は「おいしく食べる」ことから始めよう

  夏の雲といえば、青い空にモクモクと湧き上がるまっ白な入道雲。
  その明るく雄大な感じが好まれるせいか、坂東太郎、信濃太郎、比古太郎、安達太郎、奈良二郎、和泉小次郎、石見太郎、四国太郎、筑紫二郎、豊後三郎……という立派な名前が、その土地ごとについてます。

  この雲の正式名称は「雄大積雲」もしくは「積乱雲」。高温多湿なときほど発達しますから、夕立の可能性も高くなります。ゲリラ豪雨につながることもあるので、目が離せないところではありますね。

 さて、先日、ミュージシャンの桑田佳祐さんが食道がん(扁平上皮がん)のため、しばらく演奏活動を休止すると発表しました。
 扁平上皮がんとは、食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生したがんのこと。欧米では半数以上が腺癌ですが、日本人の場合、90%以上が桑田さんと同じ扁平上皮がんです。

  食道がん自体は、抗がん剤治療や放射線療法の感受性(反応性)が比較的高いがんですし、がん治療は日々進歩しています。この機会にしっかり休養をとって、早く元気なってもらい、私たちも安心して、湘南の海の入道雲のような迫力ある桑田さんの歌声を聴きたいものです。

 ところで、専門家の意見によると、食道がんの患者さんの治療効果が分かれるのは、実は退院後なのだそう。
 抗がん剤や放射線療法を通院で続けるわけですが、治療の副作用で食欲が落ちるので、家庭で十分に食事が取れないと、体力が低下して、抗がん剤や放射線療法のダメージが大きくなるケースが多いのです。

 偶然ですが、先日、某がんセンターの先生から、がんの在宅医療の食事の大切さについてお話をうかがいました。
 「十数年前には考えられなかったことですが、今や、がん患者さんは家や社会にいるのです。在宅医療をどうフォローするか。それがこれからのがん治療のポイントだと思います」

  先生のお話によると、抗がん剤や放射線治療の劇的な進歩により、外科手術に頼る部分が減り、予後が非常によくなった上、国の方針で入院期間も減り、社会復帰を果たす患者さんが増えました。
 その一方で、放射線治療中の期間に食欲を維持することや、抗がん剤で起きる味覚変化に対し、入院中なら栄養サポートチームが対応できますが、ご家庭だと患者さんやご家族が、自力でこなさなければなりません。

  「患者さんにとって、口や顎を使ってしっかり食べられることは、生きる喜びそのもの。味覚・嗅覚の変化、嚥下、口腔の状態などをきちんと評価できる優秀な歯科の先生の力が必要なので、できれば共同研究をしていきたい」という先生の言葉に、私も深く頷きました。

コラムニスト 鈴木 百合子



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