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コラムいろいろ

  • 2010.08.10
  • お盆にココロの充電を

 今年もお盆の帰省シーズンが始まりました。決まり事とはいえ、8月15日前後に一斉に国民が大移動するのはなかなか大変ですね。
 ところで、このお盆、本来は7月15日だったはず。
  新暦で祝う地方、旧暦(今年は8月24日)で祝う地方、新暦の一か月遅れ(8月15日)で祝う地方、と3種類ありますが、新暦でも旧盆でもない月遅れのお盆が全国的に広まったのは、なぜでしょう?

 実は、新暦8月15日というのは、明治時代に政府が太陽暦をとり入れた時、お盆の行事を梅雨から外すための、庶民の苦肉の策だったようです。
  というのも、お盆や七夕は当時の日本人にとって、民間信仰の根幹となる大イベント。大陰暦では月の運行に合わせてその年ごとに日にちを決めるので、「ご先祖さまの魂が暗い夜道に迷わないよう、お盆の7月15日は梅雨明け後の月の明るい十五夜」と、歴代の天文方や陰陽師が設定していました。

 ところが、1873年(明治6年)に明治政府が新暦を採用したため、暦通りなら梅雨の最中に魂祀りの行事をすることに。
  できればこれまで通り、天気の安定する夏の後半にご先祖様をお迎えしたいところですが、太陰暦の計算は面倒。考えてみれば、これまでのように年によってお盆にあたる日が違うのも煩雑です。

  そこで、「梅雨明けの旧暦のお盆に近くて、覚えやすい時期」ということで、機械的に新暦よりひと月だけ遅らせることにしたのが実情のようなのです。見方によっては、これも日本人の得意な和魂洋才かもしれませんね。

  さて、「お盆」というのは盂蘭盆(サンスクリット語の「ウランバナ」の音写語)を省略したものといわれますが、文字どおり、霊に対する供物を置く容器を意味し、それが供物を供え祀られる精霊の呼称となったという説もあります。

  ちなみに、夏に祖先供養を行うお盆の風習が日本で確立されたのは8世紀ごろだとか。この風習を日本に伝えた中国やインドではとうの昔になくなったのに、日本では1,200年を経て今に続き、民族大移動の交通渋滞を起こしている……。これこそ、驚くべきことだと思います。

 「祖先の魂を祀る」という考え方は非科学的ですが、そうやってご先祖さま達が守ってきたものは、他ならぬ、生きている者同士の絆だったような気がします。
 人間は孤独に弱い生き物です。亡き人に愛おしまれた思い出で心をしっかり充電して、思い出をともにする人たちと絆を深めるのも、お盆の意義のひとつかもしれません。

コラムニスト 鈴木 百合子



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