秋の日のヴィオロンのため息の
ひたぶるに身にしみてうら悲し。
鐘のおとに胸ふたぎ色かへて涙ぐむ
過ぎし日のおもひでや。
落ち葉 ヴェルレーヌ「海潮音」上田敏・訳 より。
爽やかな空気に鮮やかな紅葉が映える晩秋は、ヴェルレーヌのこんな詩が似合います。四季の中でも過ごしやすい時期ですが、その一方で気候や気圧の変化が激しく、一日のうちで朝夕の温度差が10度もある日が続いたり、急に冷え込む日があったりと、喘息や心臓病などの持病がある人にとっては意外にツライ季節。感染症の患者さんが急に増え始めるのもこの時期です。
この時期の感染症には風邪やインフルエンザ、肺炎等いろいろありますが、対策のポイントは、うがい、手洗い、マスク。インターネットでインフルエンザ情報をチェックする習慣もつけておいてください。
喘息の患者さんに注意してほしいのもこの時期。夜、寝て間もなくしてからや、明け方の目がさめる頃に多起こります。発作が起こった場合、まず、慌てずにゆっくり腹式呼吸をして気持ちを静めます。次に水分をとり、腹式呼吸で深呼吸してみましょう。ここで痰が出ると、かなり楽になります。
さらに、日が短くなって来るとセロトニンの影響で気分が沈みがちになります。以前、冬季うつ病のお話をしましたが、普段は元気な人でも多少は影響するようです。これはお日様の下を一駅多く歩いたり、目覚めた時にできるだけ日光を浴びたりするだけでもかなり改善します。
気をつけていただきたいのは心臓に持病のある方。寒さのストレスに加え、うつ状態になると交感神経の緊張が高まり、心拍数や血圧が増加し、不整脈や心筋梗塞がおこりやすくなるのです。この傾向はとくに男性にみられます。
心臓に持病のある方に家の中で注意してほしい場所はお風呂とトイレ。お風呂に入る前に浴槽のフタを開けておき、1、2分シャワーを出しっぱなしにして おけば、風呂場は床のタイルまで暖まります。トイレは温風暖房器や便座をうまく利用してください。
さて、この時期、お勧めの健康法は旬の食べものとご近所のお散歩です。
みかんの2倍のビタミンCがある柿の実やかぼちゃ、カブ、小松菜、栗やリンゴなど、日本の冬を乗り越えるために自然が用意してくれたおいしいプレゼントで栄養をつけ、花や木々の装いや肌に当たる風の心地よさ、冬は陽光の温かさなどを感じながら体力をつけて、この後に続く冬の寒さに備えましょう。
コラムニスト 鈴木 百合子