歯並び・噛みあわせ

指しゃぶりと歯並びについて

pic_06おしゃぶりの長期使用と同様、指しゃぶりを3,4歳を過ぎても続けていると、歯列形態に特異的な変化が認められ、発音にも影響しかねません。上あごの切歯が少し前に出て本来U字型の歯列弓がV字型となったり、上下切歯がかみ合わず隙間ができて開咬となったりします。ただし、4歳頃までに指しゃぶりをやめれば、形態の異常が自然に治ることも報告されています。

 

自然治癒するしないの分かれ目は、飲み込む時などにこれらの隙間を埋めるように生じた舌を突き出す癖(嚥下時舌突出癖)の頑固さによると考えられます。舌突出癖が定着してしまうと、母親や歯科医が注意するだけではなかなか治りません。特殊な装置を口の中に装着して舌の動きを制約したり(下段写真参照)、舌の運動様式についての時間をかけた地道な訓練などが必要となります。

 

pic_07指しゃぶりは、子どもの心と体の発達において、通過しなければならない道の一つと考えられています。子どもにとって精神的な満足を得る手段を増やしたり、外遊びなどを通じて社会性を豊かにすることにより、3歳ぐらいまでには指しゃぶりを卒業するのが好ましいといえます。

 

 

乳歯の噛みあわせが悪い

乳歯列期に治しておいた方がよい噛み合わせの問題には、反対咬合(受け口)、開咬、下あごが横にずれる乳臼歯交叉咬合などがあります。乳歯は生え変わるわけですから、乳歯の噛み合わせを治療する判断基準として、下記ががあげられます。

  • 1.その後のあごや顔の形の発育に影響する
  • 2.咀嚼や発音などの口腔機能の発達成熟が遅れる
  • 3.混合歯列期以降では治療が難しくなったり期間が長くなる

 

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反対咬合、特に下顎骨の過成長がみられるタイプでは早期治療が好ましく、頤帽装置(チンキャップ)と呼ばれる顎外装置などにより、下顎の成長方向と量をコントロールします。開咬では、最初は歯を支える骨(歯槽骨)だけであった形態の歪みが、混合歯列中期以降になると、土台となる下顎骨形態などの変化にも移行していきます。治療法については、前問で簡単に触れました。乳臼歯交叉咬合では、その後の下顎骨の左右対称な発育が乱れる可能性があります。上あごの歯列の横幅が狭い場合が多く、装置により上顎歯列を左右に拡大しながら下顎骨を正しい位置へ誘導します。

お子様の噛み合わせに不安を感じられたら、一度、治療の必要性の有無や治療時期について、小児歯科医や歯科矯正医に相談されることを勧めます。